歯茎の退縮や歯茎下がりの原因と予防方法
2023/11/05
歯茎の退縮や歯茎下がりの原因と予防方法:歯の美しさと健康のために知っておきたいこと
歯茎が下がってしまうことを「歯茎退縮」や「歯茎下がり」といいます。歯茎が下がると、歯の根元が露出してしまい、見た目が悪くなるだけでなく、痛みや歯のぐらつき、歯周病などのリスクが高まります。
歯茎の退縮や歯茎下がりの原因は、主に以下の3つが挙げられます。
- 歯周病
歯周病は、歯垢や歯石が歯茎に炎症を起こし、歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)が深くなる病気です。歯周ポケットが深くなると、歯茎が下がってしまうことがあります。
- 間違ったブラッシング
歯を強く磨いたり、硬い歯ブラシを使ったりすると、歯茎に負担がかかり、歯茎が下がってしまうことがあります。
- 元のと骨や歯茎が薄い
もともと骨や歯茎が薄い人は、歯肉退縮のリスクが高いです。歯磨きやブラッシングなどの日常的な口腔ケアに加えて、定期的な歯科検診を心がけましょう。
- 噛み合わせや歯並び
歯並びやかみ合わせに乱れがあると、特定の歯や歯茎に過剰な負担がかかります。そうした場合でも歯ぐきに炎症反応が生じ、徐々に下がっていってしまいます。
- 歯科矯正の影響
歯並びをきれいにする矯正治療においても、歯肉退縮が見られることがあります。適切な矯正力を働かせている限りは歯肉も退縮しないのですが、装置に不具合が生じて過剰な力が歯ぐきに加わると退縮を引き起こします。そんな矯正治療による歯肉退縮は、装置を調整することで改善できます。
- 歯ぎしりなどの習慣
歯ぎしりや食いしばりなどの習癖があると、歯と歯ぐきに過剰な負担がかかります。そうすると、歯の破折や亀裂を招くだけでなく、歯ぐきに炎症をもたらし、歯肉退縮を引き起こすのです。ちなみに、歯ぎしりによってかかる力は、100kgを超えることも珍しくありません。
- 加齢
歯肉退縮は加齢が原因になることもあります。歯ぐきもその他の組織・器官と同様、年を重ねるごとに退化したり、委縮したりするものです。お口の中を常に健康に保つことで、加齢による歯肉退縮の速度は遅らせることが可能です。
- ホルモンバランス
ホルモンバランスの乱れが原因の歯肉退縮としては、妊娠性歯肉炎が有名です。
女性の体内で活発に働くホルモンは、一部の歯周病原菌の増加や歯周組織の炎症反応を促進する可能性があるため、性別による差異が見られ、女性は男性に比べて歯周病に罹患しやすいとされています。
また、ホルモンのバランスが変わる時期は免疫機能が弱まったり、唾液の生成が減少したりして、口腔内の環境が悪化しやすくなります。
これは、青春期、妊娠中、閉経期などホルモン変動が激しい時期に特に顕著であり、歯肉が退縮するリスクを高める要因となります。
特に妊娠中は女性ホルモンが大量に分泌される上、悪阻で適切な歯磨きが困難になったり、唾液の量が少なくなり自浄作用が落ちることで、口内環境が悪化しやすいため、特に注意が必要です。
- タバコ
タバコに含まれるニコチンには血管を縮める効果があり、一酸化炭素は血液の酸素運搬能力を損ない、結果として酸素の不足を招きます。
このような状態では、歯肉の健康維持に必須の栄養素や酸素が十分に歯肉に届かなくなり、歯肉の健康が損なわれやすくなります。
さらに、喫煙によっては唾液の分泌が減少し、その抗菌作用も弱まることで、歯周病を発症するリスクが増大します。
歯茎の退縮や歯茎下がりの予防方法
歯茎の退縮や歯茎下がりを予防するためには、以下のことに気をつけましょう。
- 正しいブラッシングを習慣にする
1日2回、歯磨き粉をつけて柔らかめの歯ブラシで、歯と歯茎を優しく磨きましょう。歯の表面だけでなく、歯と歯の間や歯茎の裏側も丁寧に磨きましょう。
【歯磨きの理想的な習慣についての詳細はこちら】
- フロスを毎日使う
歯と歯の間の食べかすや歯垢を落とすために、フロスを毎日使いましょう。
- 歯医者さんに定期的に受診する
歯周病の早期発見・早期治療のために、年に2回程度、歯医者さんに定期的に受診しましょう。
歯茎の退縮や歯茎下がりの治療方法
歯茎の退縮や歯茎下がりが進行している場合は、歯科医院で治療を行う必要があります。治療方法は、歯茎の状態や原因によって異なります。
- 歯周病の治療
歯周病が原因の場合は、歯周病の治療を行います。歯周病の治療には、歯石除去や歯肉の手術などが含まれます。
- 歯科矯正
歯並びや噛み合わせが原因の場合は、歯科矯正を行うことで、歯茎の負担を軽減することができます。
- 歯周形成外科治療
歯茎が大きく下がっている場合は、歯周形成外科治療を行うことで、歯茎を元に戻すことができます。
歯茎の退縮や歯茎下がりは、歯の美しさと健康を損なう原因となります。正しい口腔ケアと定期的な歯科検診を心がけることで、歯茎の退縮や歯茎下がりを予防しましょう。
歯茎の退縮や歯茎下がりのチェックポイント
歯茎の退縮や歯茎下がりがないか、以下のチェックポイントで確認しましょう。
- 歯と歯茎の間に隙間がある
- 歯茎が赤く腫れている
- 歯茎から出血する
- 歯が長く見える
- 歯がぐらつく
これらの症状がある場合は、歯科医院を受診しましょう。